記事監修・作成:小さいわが家のお葬式(株式会社SEC)
近年、葬儀の形式が多様化し、形式にこだわらない方も多くなっています。以前は通夜・告別式などを行う大規模な葬儀が主流でしたが、火葬のみを行なう直葬を選ぶ方も少なくありません。
直葬を選ぶ方が増えてきましたが、情報や準備が足りず「後悔した」「トラブルが起きた」という例も見受けられます。
本記事では、直葬を検討中の方、どのような葬儀がいいか悩んでいる方に向けて、直葬の概要や一般葬との違い、直葬を検討する上で知っておくと便利なポイントをご紹介します。
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直葬とは、通夜や告別式などの儀式を行わずに、故人を直接火葬することです。病院や施設などから、直接火葬場へと搬送するシンプルな形式であり、「火葬式」と呼ばれることもあります。
直葬の特徴は、シンプルで手間がかかりにくいことです。具体的には、火葬場の予約と必要な法的手続きを行うだけで済みます。通夜や告別式を省略し、食事などを料理する必要もないため、経済的な負担も抑えられます。
近年では「身近な人に負担をかけたくない」「簡素な葬儀を望む」というニーズがあり、そのような希望に沿った形で、直葬が選ばれるケースが増えているようです。以下、直葬と一般葬の違いを詳しく解説します。
一般葬は、通夜式・告別式があるため、通常2日間を要します。故人の家族だけでなく、会社関係など親交があった人々が参列できるのも一般葬の特徴です。また、一般葬はカスタマイズ性が高く、故人の希望や遺族の意向に従った葬儀ができます。
一方、直葬は火葬をするだけなので、基本的には短時間で終わります。一般葬のように、日をまたぐようなケースはほとんどありません。また、一般葬に比べて費用が安く済むケースがほとんどです。一般葬は合計で100万円以上かかるケースも珍しくありませんが、直葬の場合は20万円程度が相場になります。
親族のみで葬儀を行うため、比較的小規模で実施できるのも直葬の特徴です。参列者とのコミュニケーションも比較的少ないため、対応に追われなくて済むなど、喪主の精神的負担を大きく軽減できます。
直葬にはさまざまなメリットがあるものの、通夜や告別式などを省略するため、親族の状況や本人の意思などによって向き不向きがあります。
直葬を選ぶと後悔するかもしれないケースとしては、以下の4つが挙げられます。
葬儀は、喪主や遺族だけでなく、故人やその関係者などさまざまな人が関わるものです。自身が置かれている状況が直葬に適しているかどうかは、必ず確認しましょう。以下、それぞれのケースを詳しく解説します。
まずは、親族の理解を得られていない場合です。直葬は古くから存在していましたが、一般的には身寄りのない人や、経済的に困窮している人がするものでした。そのため、特に高齢者の中では、直葬に対してネガティブな印象を抱いている人も少なくありません。
葬儀は故人を偲びつつ、生前の関係を振り返り、最後のお別れをするための大切な機会です。親戚や知人の間で故人を失った悲しみを共有し、互いに支え合う場でもあります。
事前のコミュニケーションが十分にされていない場合、親族は突然の決定に戸惑いや不満を感じるかもしれません。たとえ故人の意向として直葬を選んだ場合でも、それが親族に十分に伝わっていなければ、理解を示してもらえない可能性もあります。
直葬を検討するのであれば、親族に「なぜ直葬を選びたいのか」理由やメリット、もしあれば故人の気持ちをしっかりと伝えて、理解を得ましょう。
本人の意思がわからない場合も、直葬を選ぶと後悔するかもしれません。もちろん故人の意向で直葬を行ったのであれば、後悔するケースはほとんどないでしょう。
しかし、故人が生前に葬儀に関する意向を示していない場合、遺族は故人の本当の望みを推測するしかありません。直葬を選択した後に、「もしかしたら故人はもっと伝統的な葬儀を望んでいたのではないか」という疑問や罪悪感に苛まれることがあります。
故人の意向が不明確な場合、遺族間で葬儀の方法について意見が分かれるケースもあります。一部の遺族は一般葬を望むかもしれませんが、他の遺族は経済的な理由やシンプルさから、直葬を支持するかもしれません。意見が一致しないまま無理やり進めてしまうと、親族間の対立を引き起こす原因にもなります。
可能であれば、亡くなる前に本人の意思を確かめておくとよいでしょう。
故人とのお別れをしっかりしたい場合、直葬を選ぶと後悔する可能性があります。直葬は通夜や告別式などを省略し、故人をすぐに火葬するため、故人とじっくりとお別れをする時間が限られてしまいがちです。
前述のように、葬儀は故人を偲びつつ親戚や参列者同士で悲しみを共有し、喪失感を乗り越えるために重要な役割を果たします。直葬は、良くも悪くもシンプルであっさりとしたものになってしまうため、「自分の感情を整理するための時間がなかった」という後悔も少なくありません。
また、「最後のお別れができなかった」「通夜などを通してじっくりと時間をかけてお別れしたかった」と嘆く参列者もいるでしょう。もちろん本人の意向を汲むことは大切ですが、直葬を選択する場合は自宅での弔問を受け付けるなど、お別れの機会を作ってあげることも重要です。
直葬を選ぶと後悔するかもしれないケースとして、「菩提寺との関係に不安がある」も意識しましょう。日本では、葬儀は菩提寺の僧侶によって執り行われるのが一般的です。しかし直葬を選択すると、葬儀の過程が省略されるため、菩提寺によっては納骨を断られる可能性があります。
もちろん宗教不問の霊園もあるため、そのような場所であれば、直葬による納骨の問題はほとんど起こらないでしょう。しかし先祖代々の墓が菩提寺にある場合、伝統を重んじる必要があるため、注意が必要です。
直葬の希望がある場合、事前に菩提寺と十分に話し合うことが重要です。菩提寺が直葬に難色を示す場合は、他の宗教的儀式や追悼の方法を検討するとよいでしょう。「葬儀は宗教的意義が強いもの」とあらかじめ意識しておくと、トラブルを未然に防ぎやすくなります。
直葬に関する後悔は、自身が直葬を十分に理解し、適切に準備していれば防ぎやすくなります。具体的に直葬がどのようなプロセスであるか、どのようなメリットがあるか、そして遺族や関係者にどのような影響を与えるかを知っておきましょう。
直葬のメリットとしては、以下の3つが挙げられます。
葬儀に関するニーズはさまざまで、当然ながら直葬に向いているケース、向いていないケースがあります。直葬すべきかどうかを見極めるためにも、メリットをよく理解しておきましょう。
以下、直葬のメリットを解説します。
直葬のメリットとして挙げられるのは、心身の負担が軽減できることです。一般葬では、香典返しや、近隣への挨拶回りなどの後処理が必要です。葬儀社に依頼する方法もありますが、自分で作業をすると大きな負担になります。一方、直葬の場合は、こうした作業は必要ありません。
また、一般葬では、式場の選定や僧侶の手配、参列者への案内など多くの準備が必要です。上記は精神的負担・肉体的負担として喪主などにのしかかりますが、直葬ではこれらの準備は不要、または、ほとんどしなくても大丈夫でしょう。
限られた身内だけで葬儀を行うため、一般葬のように多くの参列者とのコミュニケーションが発生しにくいのも重要なポイントです。喪主の負担を大きく軽減できれば、故人への弔いにも集中しやすくなるでしょう。
手間や時間が少なくて済むのも、直葬のメリットです。一般葬では、通夜式を含めて2日間を要するケースがほとんどです。一方で直葬は火葬のみを行うため、葬儀のプロセスが大幅に短縮され、時間の節約につながります。
一般葬では、多数の参列者への対応が必要です。具体的には受付の手配や挨拶、食事の用意など、準備・実施・後処理で大きな手間がかかります。前述の内容と重複しますが、直葬ではこれらの対応が不要または最小限になるため、手間が大幅に削減されます。
現代社会では、従来より冠婚葬祭の重要度が低くなっており、長期間にわたる葬儀の準備や実施が難しい場合もあるでしょう。直葬は、まさに現代人のライフスタイルと相性の良い形式といえます。
直葬の大きなメリットとして挙げられるのが、一般葬に比べて費用を抑えやすい点です。通夜や告別式などの省略により、これらに関連する費用(式場の使用料、僧侶へのお布施、飲食、供花など)が不要になります。
一般葬の相場としては、100万円程度です。内容によっては、150万円を超えるようなことも珍しくありません。一方で直葬は、一般葬よりもリーズナブルな価格で実施できます。費用相場は以下のとおりです。
全国平均 |
20万円程度 |
公営の火葬場 |
10万円程度(※火葬費用のみ) |
民間の火葬場 |
30万円程度 |
一般葬に比べて約80万円の節約ができるのは、直葬の大きなメリットといえるでしょう。
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