記事監修・作成:小さいわが家のお葬式(株式会社SEC)
家族葬を近親者のみで執り行った場合、参列しなかった方たちへ挨拶状を送る必要があります。しかし、家族葬の挨拶状は自由に書いてよいというものではなく、マナーを守って作成する必要があります。
家族葬の挨拶状はめったに書く機会がないため、どのように書いたらよいのか迷う方も多いでしょう。そこで本記事では、家族葬の挨拶状の基本知識やマナー、注意点について解説します。また一般的な挨拶状に加えて、宗教別の挨拶状のテンプレートもご紹介しているので、ぜひ参考になさってください。
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家族葬における挨拶状とは、通夜・告別式に参列しなかった方に対して、故人の不幸および家族葬を執り行ったことを知らせるための通知です。
挨拶状は原則としてハガキで送付します。手書きか印刷かはどちらでも構いません。通知が遅くなると相手に失礼となるため、手書きする時間がない場合は印刷にするとよいでしょう。
また挨拶状は、横書きではなく縦書きで作成します。手書きで作成する場合は毛筆または万年筆を使用し、ボールペンは使いません。
毛筆で書く場合は、墨の濃さを変えます。四十九日までに送るときは薄墨、四十九日を過ぎてから送るときは通常の濃さの墨で書くのが一般的です。
家族葬の挨拶状を書く際は、マナーを守ったテンプレートを基に作成すると、安心です。
ここからは、家族葬の挨拶状のテンプレートを5つご紹介します。誰でも使える一般的な挨拶状から、宗教別の挨拶状まで掲載しています。
なお、挨拶状にはいくつか注意点があるので、具体的な内容は後ほど紹介します。
まずは家族葬の挨拶状の典型例をご紹介します。簡単にまとめた短い例文と、やや長めの例文の2つを用意しました。
短い例文は以下のとおりです。
父佐藤○○儀 去る□年□月□日に永眠しました 故人の遺志により葬儀は近親者のみで執り行いました なおご香典 お供花 お供物につきましては固く辞退させていただきます 生前賜りましたご厚誼につきまして厚くお礼申し上げます 令和□年□月□日 東京都△△区△△△1-1 喪主 佐藤○○ |
続いて、やや長めの例文をご紹介します。
父佐藤○○儀 かねてより病気療養中のところ去る□月□日に△△歳にて永眠しました 謹んでご通知申し上げます 故人の生前の遺志により 葬儀は近親者のみで相済ませました お知らせが遅れたことを心よりお詫び申し上げます また□月□日に四十九日法要と納骨を済ませましたことも 合わせてご連絡申し上げます なお 誠に勝手ながらご香典 お供花 お供物は固く辞退させていただきます 故人が生前に賜りましたご厚情に深く感謝し 謹んでお礼申し上げます 令和□年□月□日 東京都△△区△△△1-1 喪主 佐藤○○ |
どちらも内容自体はそれほど変わりませんが、連絡を差し上げなかった非礼をお詫びしているかどうかによって文章が異なります。送る相手によって使い分けるとよいでしょう。
仏教で家族葬を済ませた挨拶状は、基本的には一般的な挨拶状と同じと考えて問題ありません。ただしすでに戒名を受けた場合は、その旨を記載しましょう。
仏教の場合の挨拶状の例文は以下のとおりです。
父佐藤○○儀 天寿を全うし去る□月□日に永眠いたしました 故人の遺志により葬儀は近親者のみにて済ませました またこのたび□月□日に○○○○(戒名)四十九日法要と納骨を済ませましたことも合わせてご連絡いたします なおご香典 お供物 お供花などはご遠慮くださいますようお願い申し上げます 本来であれば直接お目にかかってお礼申し上げるところではございますが 略儀ながら書中にてお礼方々ごあいさつ申し上げます 令和□年□月□日 東京都△△区△△△1-1 佐藤○○
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香典や供花、供物を遠慮した場合でも、故人が生前お世話になった方や親しかった方に対しては、忌明けの頃に挨拶状を送ることが大切です。
直葬とは、通夜・告別式をしないで直接火葬場で故人を見送る葬儀の形式をいいます。近親者のみで執り行うことから、家族葬のうちの一つに数えられます。
直葬の挨拶状の例文は以下のとおりです。
父佐藤○○儀 かねてより療養中のところ去る□月□日に永眠いたしました 故人の生前の遺志に基づき葬儀は近親者のみで執り行いました なお誠に勝手ながらお供えやお供物不祝儀に関しましては固くご辞退させていただきます 生前中に賜りましたご厚情に心よりお礼申し上げ 略儀ながら書中にてご報告申し上げます 令和□年□月□日 東京都△△区△△△1-1 喪主 佐藤○○ |
直葬の場合でも、挨拶状の文面は家族葬の場合とほぼ同じで構いません。ただし家族葬の場合は四十九日法要が終わった頃に挨拶状を出すのに対し、直葬の場合は葬儀が終わってから10日前後のタイミングで送ります。
神式の家族葬の挨拶状では、故人が亡くなったことを表現する際は「永眠」ではなく「帰幽(きゆう)」を用います。
神式の場合の挨拶状の例文は以下のとおりです。
父佐藤○○儀が帰幽いたしました 故人の遺志に基づき葬儀は近親者のみで執り行いました なお誠に勝手ながら お供えや お供物 不祝儀に関しましては固くご辞退させていただきます 生前故人に賜りましたご厚情に深謝申し上げます つきましては拝趨の上親しくお礼申し上げるべきところではございますが 略儀ながら書中にて謹んでお礼のごあいさつを申し上げます 令和□年□月□日 東京都△△区△△△1-1 喪主 佐藤○○ |
忌明けのタイミングは仏式と異なり、四十九日ではなく、故人が亡くなってから50日目に行われる五十日祭となります。
キリスト教では、故人が亡くなったことを「帰天」(カトリック)もしくは「召天」(プロテスタント)と表現します。
キリスト教の場合の挨拶状の例文は以下のとおりです。
先般 亡父佐藤○○儀は地上での勤めを終え帰天しました 故人の生前に皆様より賜りましたご厚情に 故人に代わり深謝を申し上げます 葬儀は故人の遺志により近親者のみで執り行いました 本来であれば直接お礼申し上げるのが本意ではございますが 略儀ながら書中をもちましてごあいさつとさせていただきます 皆様の下にも主の慰めが訪れるようお祈り申し上げます 令和□年□月□日 東京都△△区△△△1-1 喪主 佐藤○○ |
また仏教や神道と異なり「忌中」の概念がないため、「忌明け」も存在しません。したがって、家族葬の挨拶状は記念会や追悼ミサが終わってから送りましょう。
家族葬の挨拶状には、普通の手紙やお知らせ文を書く場合とは異なるマナーがあるため、注意が必要です。マナーを守らないと相手に不快な思いをさせるどころか、常識のない遺族だと思われてしまう可能性もあります。そうした事態を防ぐためにも、家族葬の挨拶状を書く際のマナーは押さえておきましょう。
以下では、家族葬の挨拶状を書く際に注意したい5つの点を、理由も含めて解説します。
家族葬の挨拶状では忌み言葉を使用しません。忌み言葉とは、死や不幸、その連続を想起させる言葉を指します。
例えば「重ね重ね」「ますます」「引き続き」といった重ね言葉や、「四(し)」「九(く)」など死や苦しみを思わせる言葉、「死」「死亡」「生きていた頃」など、生死を直接表現する言葉が忌み言葉に該当します。
中でも「重ね重ねお礼申し上げます」「くれぐれもよろしくお願い申し上げます」の表現は日常生活でも使うことがあるため、葬儀の場でもうっかり口に出してしまいがちです。間違って使ってしまわないよう気を付けましょう。
なお「四」「九」は、日時として書かなければならない場合や、「四十九日」と表現する場合は使用しても問題ありません。
家族葬の挨拶状では句読点(「、」「。」)を使用しないのが一般的です。なぜなら「、」や「。」は文を区切る役割があるため、句読点を使わないことで「葬儀や法要が滞りなく終わるように」という意味が込められているといわれています。
また「、」「。」は、文章を読みやすくする役割を担っていました。昔は書状に句読点を入れると、相手を子ども扱いしているという意思の表れになると考えられていたため、挨拶状に句読点を入れないのはその名残であるという説もあります。
従って相手に敬意を払う意味でも、句読点を文章に入れるのは避けましょう。
仏教では使えても、キリスト教や神道では使えない言葉があります。
例えばキリスト教では故人の死を悔やむ言葉はNGです。なぜならキリスト教で「死」は神様の御許に旅立つことであり、これを悔やむことは神様に対して失礼だからです。
また神道では「永眠」という言葉もふさわしくありません。神道では人が亡くなると、先祖と一緒に家を守る神様になると考えられているためです。したがって神道では「帰幽」という言葉を用います。
他にも戒名(法名)、冥福、供養、法要、法事、成仏といった表現は仏教用語のため、仏式以外の葬儀で使用する際は注意が必要です。
家族葬の挨拶状では時候のあいさつを省きましょう。時候のあいさつが不要である理由は「親しい人の死により、時候のあいさつを書くことすら忘れてしまうほど深い悲しみに沈んでいる」ことを表現するためだといわれています。
「拝啓」「謹啓」などの頭語は使っても使わなくても、どちらでも構いません。もし入れる場合は結語と一致するように気を付けましょう。「拝啓」なら「敬具」、「謹啓」なら「敬白」と結びます。
家族葬の挨拶状では内容を簡潔にまとめ、長文にならないようにします。目安としては1枚に収まる長さにまとめるのがマナーです。
挨拶状が2枚にわたると、忌み言葉である重ね言葉と同様、死や不幸が重なることを連想させてしまうからです。
また文章の行頭を一字下げにするのも避けましょう。これは昔の和文には一字下げの習慣がなかったことに由来します。また一字下げは、句読点と同じように文章を読みやすくする役割があるため、一字下げをしないことで相手への敬意を表すことにつながります。
家族葬の挨拶状を送るタイミングに明確なルールはありませんが、一般的には「忌明け」で送るものとされています。仏式の場合は、四十九日を過ぎたタイミングで送るのが一般的です。
四十九日のタイミングであれば納骨を済ませている場合が多く、挨拶状を送るのにちょうどよいタイミングだと考えられています。あまり遅くなっては相手に失礼なため、四十九日が過ぎてから1カ月以内には送るようにしましょう。
なおキリスト教の場合は「忌」「忌明け」という考え方が存在しないため、プロテスタントの場合は故人が亡くなった1カ月後の記念式、カトリックの場合は30日目のミサのタイミングで送るのが基本です。
挨拶状にはさまざまな種類やマナーがあり、いざ準備するとなると「この場合はどうしたらいいのだろう」と悩むケースもあるでしょう。
そこで家族葬の挨拶状について、4つの疑問を回答とともにご紹介します。挨拶状の種類や例文などもまとめていますので、挨拶状に関して迷ったときに参考にしてみてください。
葬儀で出す挨拶状の種類は以下のとおりです。
● 訃報連絡:通夜・告別式に来てほしい方に送る
● 会葬礼状:通夜・葬式に参列してくれたことへのお礼として送る
● お悔やみ状へのお礼:やむを得ず葬儀を欠席した方からのお悔み状に対して送る
● 葬儀を知らせていない方への挨拶状:家族葬や直葬などを済ませてから、逝去を知らせる際に送る
● 供花・供物へのお礼:供花・供物をくれた方に送る
● 弔辞・弔電へのお礼:弔辞を述べてくれたり、弔電を送ってくれたりした方へ送る
● 香典返しの挨拶状:香典返しの品と共に送る
● 喪中はがき:新年のあいさつができない旨を伝える際に送る
訃報や葬儀についてのお知らせや、心遣いを頂いたことに対するお礼など、場面や相手に応じて挨拶状を準備しましょう。
挨拶状と喪中はがきは、ともに故人の不幸を知らせる点で共通していますが、本来は異なる意味を持つ別の文書です。
挨拶状は、故人が亡くなったことを知らせる通知としての意味合いが強いです。一方喪中はがきは、身内の不幸があったため新年のあいさつができないことを伝えるのが、本来の意味になります。
忌明けの時期が11〜12月頃になる場合は、挨拶状と喪中はがきを一体化させて送ることも可能です。喪中はがきは相手が年賀状の準備をする前に送る必要があるため、遅くとも12月上旬までには送りましょう。
お返しを辞退された場合は、香典返しの品は送らずに挨拶状だけを出しましょう。例文は以下のとおりです。
拝啓 皆さまにおかれましてはお健やかにお過ごしのこととお慶び申し上げます 先般は亡父佐藤○○儀の葬儀に際しまして ご多忙にもかかわらずご会葬を賜り また丁重なるご厚志を賜りまして心よりお礼申し上げます おかげをもちまして△月△日に四十九日の法要を終えました 生前のご厚誼に深く感謝申し上げます 本来であれば拝眉の上お礼申し上げるべきところではございますが 失礼ながら書中をもちましてのごあいさつとさせていただきます 敬具 令和□年□月□日 喪主 佐藤○○ 親族一同 |
家族葬の挨拶状を誰に送るべきか迷った場合は、以下の方たちに送りましょう。
● 喪主の友人・知人・職場関係者
● 故人の友人・知人・職場関係者
● 故人に年賀状を送ってきた方
送るべきかどうか迷う相手がいる場合は、送っておくのが無難です。なぜなら訃報を知らされて迷惑に感じる方はほとんどいないからです。むしろ通知しないと「知りたかったのに知らせてもらえなかった」と後でトラブルに発展する可能性があります。
家族葬の挨拶状を作成する際は故人の名誉を尊重し、また相手に対して失礼にならないよう敬意を持って準備するのが大切です。あらかじめ家族葬の挨拶状の種類や基本知識、ルールやマナーについて押さえておく必要があります。
もっとも家族葬の挨拶状はあまり書く機会がないため、書き方に不安を覚える方もいるでしょう。またルールやマナーをひと通り学んでも、いざ書くとなると自信がないという方も多いかもしれません。
もし家族葬の挨拶状の書き方に迷った場合は、小さいわが家のお葬式(わが家の家族葬)へお問い合わせください。家族葬を専門に取り扱っているため、分からないことがあればどのようなことでもサポートいたします。
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