記事監修・作成:小さいわが家のお葬式(株式会社SEC)
近年は埋葬方法が多様化しており、海洋散骨も注目を浴びています。しかし、安易に海洋散骨すると、親族や業者、菩提寺・近隣住民などとトラブルが起きる恐れがあります。故人を弔いたい気持ちがあっても、トラブルが起きると納得できない埋葬になってしまうかもしれません。
本記事では、残された人が穏やかに海洋散骨ができるように、実際に起きたトラブルの事例を紹介していきます。事前にトラブルが起きがちなポイントを知っておき、後悔しないように海洋散骨をしましょう。
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海洋散骨とは、火葬した後に粉骨した故人の遺骨を、海洋へと散布する供養のことです。すでに埋葬されていた遺骨を取り出して海洋に散布する場合も、海洋散骨といいます。海洋散骨は、以下の理由で注目されています。
なお、「山林散骨」や「宇宙散骨」も散骨の一種です。しかし、山林散骨の場合は、土地の所有者の許可を得られなければ散骨できません。宇宙散骨は受け付けてもらえる遺骨の量が非常に少なく、散骨できなかった分は自分たちで供養する必要があります。山林散骨や宇宙散骨と比べると、海洋散骨は実行しやすい方法だといえます。
親族の賛同を得ないまま海洋散骨を行うと、トラブルになる恐れがあります。特に一族代々伝わるお墓がある場合は、海洋散骨に加え墓じまいの問題も関係するかもしれません。墓じまいは自分たちの代だけの問題ではないため、さまざまな人の意見を聞いて進めましょう。親族間における海洋散骨のトラブルを解説します。
たとえ故人が海洋散骨を希望していたとしても、価値観の違いから親族から反対される恐れがあります。お墓への埋葬は古くから続いてきた習わしです。突然、長らく続いてきた風習をやめて海洋散骨したいといっても、受け入れてもらうことは難しいと考えられます。
また、海洋散骨を拒む背景には、墓参りをどうすればよいか分からない、お墓に埋葬しなければ故人が成仏できないのではないか、など不安に思う気持ちもあります。
親族それぞれ散骨を否定する理由は異なるため、個人と向き合い納得いくまで説明しなくてはいけません。気持ちを無視して海洋散骨をすると、親族間の人間関係にヒビが入る恐れがあります。
墓じまいをしたい気持ちから、海洋散骨を検討する人もいるでしょう。しかし、墓じまいは個人の独断で行うものではありません。お墓は一族代々で管理するものです。親族の納得を得ずに墓じまいをすると、トラブルになるリスクがあります。
遺骨を残しておきたい親族の気持ちには、真摯に向き合ってください。全ての遺骨を海洋散骨してしまったために、親族とトラブルが起きるケースが報告されています。
遺骨を故人そのものとして捉える人もいます。たとえ故人が希望した海洋散骨だとしても、遺骨に思い入れがある親族としては割り切れないものもあるでしょう。
海洋散骨した遺骨は回収できないため、事後報告したときに反発を受けても対応しようがありません。仮に連絡の取れない遺族がいる場合は、遺骨の一部を粉末状に加工したものを残しておくと良いでしょう。全ての遺骨を散骨してしまうよりは、トラブルが起きるリスクを抑えられます。
海洋散骨の際は、遺骨を細かく砕いておかねばなりません。粉骨すると遺骨が自然に還りやすくなり、散骨する遺骨の量も減らせます。ただし、一般の人が遺骨を砕くことは物理的にも精神的にも難しいため、大抵の場合は業者と相談して海洋散骨を進めていきます。
海洋散骨で起きがちな業者とのトラブルについて解説します。信頼できる業者に海洋散骨を依頼してトラブルを避けましょう。
海洋散骨の際はさまざまなルールやマナーがあります。適切に海洋散骨がなされるように、業者はルールやマナーを熟知していなくてはなりません。一般的な海洋散骨のルールやマナーを以下にまとめました。
経験の浅い業者に依頼すると、ルールやマナーを守らないためにトラブルが起き、故人を偲ぶ気持ちを踏みにじられたように感じる恐れがあります。
海洋散骨は海の上で行われるため、天候を理由に予定していた日に散骨できない場合もあります。しかし、業者によっては「これくらいなら船を出しても大丈夫」と、無理に予定を強行するところも見られます。
天候自体は業者にはどうしようもありませんが、海洋散骨を強行しても、船酔いする人が出たり、後から体調を崩したりする人が出てくると考えられます。天候に応じて海洋散骨の可否を適切に判断してくれる業者だと、落ち着いた気持ちで散骨ができるでしょう。
予約してお金を振り込んでいたものの、いざ海洋散骨をするときに業者が倒産していたケースも報告されています。返金や代わりの業者の紹介など、倒産した後でも誠実な対応をしてくれる業者ばかりとは限りません。中には、遺族に対する対応がなおざりな業者もあります。
契約書を結んでいても、署名や押印、電子署名などがなければ法的拘束力を期待できません。倒産する恐れはないか、信頼できるかをよく確認して業者を選んでください。
必要な資格(免許)や届出のない業者は、旅行業法違反に抵触している可能性があります。海洋散骨の代行のみなら、船と船舶免許があれば実行できます。ただし、遺族などを船に乗せて海洋散骨のサポートをする場合は、人の運送をする内航不定期航路事業開始届を運輸局に提出しておかねばなりません。
また届出を出す際は、船客傷害保険契約証書の写しや、船舶検査証書の写しなども必要です。業者のホームページを見て、必要な資格や届出がなされているかを確認しましょう。
海洋散骨に注目を浴びていますが、ブームに乗ろうとする悪徳業者に注意してください。悪徳業者と関わると以下の被害を受ける恐れがあります。
事業登録しておらず、廃棄物処理法や海洋汚染防止法も守らない悪徳業者も見られます。思わぬトラブルに巻き込まれないように、業者の実態を慎重に確認してください。
海洋散骨をすると、お墓を建てるよりも出費を抑えられます。しかし、業者選びでは料金にこだわりすぎないようにしましょう。海洋散骨を業者に依頼する際の料金は、5万~30万円程度が相場です。遺族などが同行せず、散骨を代行してもらう場合は比較的料金を抑えられます。
あまりに安い料金を提示する業者に依頼すると、追加料金を請求される可能性があります。複数の業者から見積もりを取り、相場を把握してから依頼する業者を決めましょう。海洋散骨の費用は下記の記事でも解説しています。併せてご参照ください。
【海洋散骨の費用はどれくらい?海洋散骨の基本も…】
海洋散骨を選択すると、長年の付き合いがある菩提寺との関係性が悪化する場合もあります。相談もなしに海洋散骨をしたがために、墓じまいの際に高額な離檀料を求められたり、住職から叱責されたりする恐れがあるため注意しましょう。
また、海洋散骨そのものは違法ではありません。しかし、以下の場所では基本的に散骨が認められていません。
条例により散骨自体を禁じている自治体もあるため、事前調査は欠かせません。こっそり散骨しても、トラブルになるばかりか、訴えられるリスクもあります。
ここまで解説してきたように、海洋散骨ではさまざまなトラブルが想定されます。トラブルが起きると、親族や菩提寺、近隣住民との関係性がこじれます。
業者とのトラブルになれば、お金の問題にも悩まされるでしょう。また、散骨した場所によっては、訴えられるリスクもあります。海洋散骨のトラブルを避ける方法を解説するので、対策を検討してください。
親族間でしっかり話し合い、海洋散骨がしたい気持ちを理解してもらいましょう。確かに近年は、海洋散骨を希望する人が増えています。しかし、海洋散骨をよく思わない人や、どのような埋葬方法か詳しく知らない人は少なくありません。一族代々のお墓に埋葬することにこだわりを持つ人もいます。
後からトラブルが起きないためには、故人や遺族が海洋散骨を希望する理由や背景などを、しっかり伝えることが重要です。
「遺骨をいくらか手元に残しておいて、故人の存在を感じたい」という人もいます。一度海に撒いた遺骨は二度と戻ってきません。全て散骨してしまう前に、親族の気持ちを確かめておきましょう。
そもそも、散骨する遺骨の量に対して、明確なルールはありません。遺骨の一部のみを散骨し、残りを骨壷やアクセサリーとして手元供養するケースもあります。手元供養については、下記記事で詳しく解説しています。併せてご参照ください。
【手元供養とは?やり方とメリットや注意点】
菩提寺には海洋散骨に否定的な見方をするところもあります。ただし、相談せずに海洋散骨や墓じまいの手続きをすると、反発を受ける場合があります。長年付き合いがある菩提寺には特に、海洋散骨や墓じまいを望む理由や、祖先を粗末にしているわけではないことを伝えて納得してもらいましょう。
これまでお世話になってきた意味も込めて、葬儀が終了したことや、海洋散骨の意思を伝えてください。
海洋散骨について定めた法律はありません。ただし、厚生労働省が制定した「散骨に関するガイドライン」と、日本海洋散骨協会が策定した「日本海洋散骨協会ガイドライン」を基に、節度を守った散骨を実施しましょう。ガイドラインに定められた内容の一部を以下に示しました。
ガイドラインを重視しない業者や、適切な方法で粉骨・散骨を行わない業者は、悪徳業者です。悪徳業者を避けるために、サービスや料金、実績、口コミなどをよく調べて、信頼と実績のある業者に海洋散骨を依頼しましょう。
散骨専門の協会や団体などの加盟事業者の場合は、悪徳業者のリスクは低いと考えられます。ほとんどの教会や団体では、加盟事業者は、厚生労働省が制定した「散骨に関するガイドライン」はもちろん、独自に策定された「海洋散骨ガイドライン」を遵守しています。
繰り返しになりますが、海洋散骨について定めた法律はありません。ガイドラインに沿って節度ある散骨をする分には、問題ないといえるでしょう。
自分で散骨すると、業者とのやり取りや料金に関するトラブルが起きる心配がありません。ただし、遺骨を撒いてよい場所を調べる、自分で遺骨を砕くなどの行為は、一般の人にとってハードルが高いと考えられます。特に海洋散骨の場合は、以下で解説する海難事故に注意しましょう。
船舶の運転に不慣れな人は、海難事故に注意してください。業者に頼むとお金がかかるからといって、自分で船を運転して海洋に出る人もいます。しかし、海上は天候が変わりやすく、慣れない状態だと操縦ミスや転落などの事故が起きる場合があります。
また、故人を思うと、いつもの調子が出ない人もいるでしょう。海難事故を防ぐために、海洋散骨業者への依頼をおすすめします。
海洋散骨する際は、親族としっかり話し合う必要があります。故人を弔う気持ちは人それぞれで、お墓に埋葬したいと望む人もいれば、遺骨を手元に残して置きたいと願う人もいます。海洋散骨を依頼する業者選びや、菩提寺や近隣住民とのトラブルにも注意しましょう。
「小さいわが家のお葬式(旧わが家の家族葬)」では、海洋散骨を執り行っています。遺骨を長期保存する際の衛生面に配慮するため、遺骨を粉骨後に真空パックしてご返骨します。代行委託散骨も可能です。海洋散骨を検討している人は、ぜひ、小さいわが家のお葬式へご相談ください。下記リンクから、「小さいわが家のお葬式(旧わが家の家族葬)」の海洋散骨の詳細をご確認いただけます。
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